鴨川のはりねずみ

[TeX] λの上にバーをつける

換算 Planck 定数 $\hbar$ のように, 文字自体にバー (ストローク) をつける表記法が採用されることがあります. $\hbar$ は LaTeX コマンド \hbar として収録されているので良いのですが, 天文学で用いられる $ƛ$, 熱力学で用いられる不完全微分 $đ$ などは通常のコマンド \bar{} では実現できません.

要件として, 通常の LaTeX だけでなく, MathJax やできれば pandoc でも扱えるものが好ましいです.

TeX コマンドでがんばる

参考文献に載っているコマンドをいろいろと試してみましたが, MathJax でもうまくいったものはふたつだけです. ただしいずれも pandoc では MathML に変換できません.

まず一番上の文献に載っている

{\lambda \kern -0.5em\raise 0.5ex \hbox{--}}

です. 実際に使ってみたものがこちら: $${\lambda \kern -0.5em\raise 0.5ex \hbox{--}} = \frac{ \lambda }{ 2 \pi }$$ 多少修正して

{\lambda \kern -0.8em\raise 0.5ex -}

としても類似の結果になります. $${\lambda \kern -0.8em\raise 0.5ex -} = \frac{ \lambda }{ 2 \pi }$$

もう一つが Wikipedia の Inexact differential に載っていた

\rlap{\textrm{d}}{\bar{\phantom{w}}}
\rlap{{\lambda}}{\bar{\phantom{w}}}

です. ただ d の方は斜体にしてしまうとストロークの位置がずれてしまいます. $$\rlap{\textrm{d}}{\bar{\phantom{w}}}$$ $$\rlap{{\lambda}}{\bar{\phantom{w}}}$$

専用の Unicode 符号を使う

これらのバー記号は Unicode では ストローク符号 と呼ばれているもので, 専用の Unicode 符号が与えられています (ラテン文字拡張A, ラテン文字拡張B). なのでこれらに含まれている文字ならば, それを直接入力してしまえば Unicode が表示できるすべての環境で使用することはできます. ただし適切なフォントがあるかどうかは別問題で, LaTeX デフォルトの Computer Modern (やその派生フォント) には収録されておらず, フォント面では期待した見た目にならない可能性があります.

コピペ用:

đ
ƛ

ちなみにどちらも単独記事になっています.

参考文献